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投稿ID:803448
名前:蹴人
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応援してくれる人がいるからまだ書く
今度は長いし、次のもすぐに落とす
B君は何が起こったのかわからなかった。
離婚とは何なのか、家族がどうなるのか、自分はどうなるのか。
ただ暮らすだけなら、もちろん母親を選ぶ。父親と暮らす事が問題と言うよりは、
母親がいない生活が想像できない。
だが本当にそれが正解なのか。
昨日まで学校もサッカーも充実していた反面、気持ちの整理が追いつかない。
両親の真剣で、切実な眼差しが、事の重大さを伝え、自分の返答の重大さを物語っていた。
初め、B君はこの現実から逃げたかったが、自分の判断を必要される局面と、理解するまでに時間を要した。
クラスにも片親の友達はいる。
特にみんなと違うところは無いし、特に変なやつもいない。
そう考えると何が不便で、何が制限されるのかはわからないが、片親の子は揃って母親と暮らしているし、どちらを選べと言えば母親と暮らしたい。
でも、そうすると引っ越して転校になってしまう。
B君は2つの選択肢には、答えが無かった。なのでB君母の方を向いて
僕はお母さんと一緒にいたい。
でも、転校はしたくないし、今のチームでサッカーを続けたい。
と、どちらかというと大人しい性格のB君がB君母にはっきりと言った。
B君母は子供の思いを知り、涙が溢れ、
私でいい?
それなら、この街で暮らせるよう何とかする!
どんな事をしてもBが楽しくすごせるようにします!
と、最後はB君父に力強く言った。
B君父はB君に
それがどんなにつらい事になるか知らないだろう?
今よりもっとひどいいじめにあうかも知れないんだぞ。
転校すれと煩わしい事もあるが、少しの間だけだ。
学校はまだ1年以上あるんだから、もっと慎重に考えたほうがいい。
B君は
お母さんはいつだって僕のために頑張ってたのを知ってる。
運動会前は足が速くなる練習方法も一緒にやった。
学芸会でも村人の役なのに真剣に練習に付き合ってくれた。
サッカーも1年生のころから、一緒に悩んで見守ってくれたんだ。
お父さんには悪いけど、僕の記憶にはお母さんとの思い出ばかりなんだ。
過去を引っ張り出されてはB君父に抗う術はない。
一人っ子で、子煩悩な母親に勝てる道理は無いことを分かってはいたが、B君が普段からいじめられている事を想定したため、転校を選ぶと思っていた。
B君父は
サッカーだって違うチームに行けば、試合にも出れるかもしれない。
もっといい環境も探せばきっとある。
あのチームにいる限り、何を言われるかわからないんだぞ。
と、ゆっくりだがはっきりと言った。
B君は
そんなこと言われても僕には今の状況しか考えられないよ。
B君父は
なら、少し時間を使って考えてみるといい。
もし、学校やチームで嫌なこと言われたらもっとまじめに考えるだろう。
来週また返事を聞かせてくれ。
あとはお母さんと話す。
こう言って、その場を終え、B君は2人を母親を一瞬だけ見て部屋に戻った。
B君が寝静まった頃、B君母は、
私が原因で、こんな事になってしまって本当に申し訳ありません。
誓って私と若手コーチの間には何も疾しいことはありません。
でも、世間の噂を払拭する方法は私にはわからない。
あなたが離婚したいと言うなら、私はそれに従います。
Bは私が命に代えてでも、しっかり育てたい。
B君父は、
事はそんなに簡単じゃない。
離婚したら、どうやってお前が育てるんだ。
Bが大人になるまで養育費は出してもいい。
それでも2人が生活するには、お前も仕事しなければならない。
40前の専業主婦が定職に就くのは簡単じゃないんだ。
B君母は
わかってます。
でも、あんなにはっきりと自分の気持ちをあの子は初めて言えた。
学校でも、サッカーでも今まで周りの子に遠慮しがちだったのに、最近はサッカーから帰ってきたら、何ができた、C君、D君とすごいプレーができた、って、とても楽しそうに話してくるの。
今、自信がついてきたんだと思う。
B君父は
それは俺も感じている。
最近は夜遅くまで庭でボール蹴ってて、こっちが注意するくらいになった。
だからこそ、周りから変に注目されたときのギャップが怖いと思ってる。
B君母は
あの子を信じたい。
あのこが強くなったことを私は信じて、何があっても私は守りたい。
B君父は、大きく息を吐いて、しばらく考えこんだ。
無言の時間が5分ほど経ったとき、階段からB君が降りてきた。
起きたというより、眠れなかったのだろう。
B君は
今度の大会はどうしても出たいんだ。
レギュラーチームじゃなくて、Bチームとして出場するけどサッカーやってて今が一番楽しい。
みんなが僕にボールを集めてくれる。
僕は敵にとられないように身体を前にいれるんだ。
その競り合いで足も背中も青あざだらけになった。
練習が終わった後は身体じゅうが痛いけど、その分上手くなってる気がする。
まだ、たまにしか上手くC君にボールを出せないけど、きれいにC君の前にパスが通ったとき、みんなから、ナイスパス!、とか言われたり、C君がシュートを決めるとみんなでハイタッチする。
それを練習ではなくて試合で絶対に決めたい。
だからせめて今度の大会が終わるまではこのチームをやめたくない。
B君は、眠れない間に考えた。
今の自分にとって何が一番大事なのか。
つたない表現で、本心を正確に伝えられてはいないが、B君夫妻にはサッカーへの思いは伝わった。
わかったからもう寝なさい。
B君父は優しくそう言い、B君の部屋まで連れて行った。
あの子は本当に強くなったんだろうか。
B君を寝かし終えたB君父が言った。
わからない。
でも、今が強くなれるチャンスだと本人は思ってるみたい。
それを私は潰せない。
B君母は穏やかに言った。
B君父は
様子を見よう。
俺たちは極力外出を避けて、あの子の周辺に刺激を与えないようにしか出来ない。
わかったわ。
こうしてB君宅の離婚は一時だが免れた。
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