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投稿ID:803482
名前:蹴人
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今日は書きための2本目だぜ




週末、5年生は大会に向けた最後の調整としてTMに向かう。
天気も良く温かいのと、それほど離れていない場所だった事、観戦スペースが整っている事から、多くの保護者が観戦に来ていた。

ここにB君夫妻の姿はない。

未だ保護者達は、B君母の話題は冷めてはいないが、表立ってその話をする者もいなかった。

子供たちは総じて意気揚々で、特にBチームはやる気が漲っていると思えた。
だが、この中で一人だけB君をまともに見れない子がいた。

C君は前日に母親が他の子の母親との電話を聞いてしまった。
C君母は、B君母の話を面白ろ、おかしく話していた。

話の内容はよくわからないが、そこにはB君母への蔑みがあり、聞いていて不快な気分になる。
イジメっ子が、本人のいないところで人の悪口を言っているのと同じように見えた。
C君は、B君の事じゃないにしろ、B君に対して心苦くなっていた。

試合前のアップも終了し、Aチーム同士の試合が始まった。

この日のAチームは、どこかちぐはぐだった。
相手チームはコートを広く使い、GKを入れたバックラインから組み立てる。
前線の選手が絶えず、オフサイドラインギリギリで抜け出す準備を図る戦術だった。
相手ボールになると、いったん最終ラインまでボールが下げられ、ボールを回されるので、中盤からDFにテクニシャンが揃っていた。
このためミドルカウンターを得意とするチームは、中盤より後方でボールが支配されるため、フォーメーションが間延びしてしまう。
相手チームに完全にポゼッションされてしまった。
ただ、何本かシュートは打たれたものの無失点で終え、結果、1ゲーム目は0-0で終了。

続いてBチーム同士のゲーム。
相手チームは学年人数20名を超えるらしく、Bとは言っても、そこら辺のチームよりは強い。
キャプテンのD君がチームメンバーに激を入れ、引き締まった。

試合は初め3分程度は五分五分だったが、徐々に均衡が崩れてきた。
D君は試合前に、Aチームの試合をよく観察しており、開始直後に同じ戦術だと気づいた。
このため、B君の特色である最前線でのプレスを指示。
このハイプレスにより、相手DFのミスが多くなってきた。

容易にボールを下げると、ミスしかねないので相手DFはあまり下がらなくなってきた。
そこにD君が、相手DFとMFの隙間を縫うようなパスをB君に入れた。
B君は相手センターバックとの体の入れあいを制し、横目でC君を見る。
D君からのパスをトラップせずにダイレクトに相手センターバックの右後ろに流した。

そのボールの位置、スピードは、相手DFのウラをレフティであるC君が5歩目に左足で受けれる状態に転がった。
C君は左足で軽くトラップし、ペナルティエリアに入った瞬間に左足を振り抜く。
ボールはゴールの中央付近だが、シュートスピードからGK動けずに初得点を獲得した。

ABチーム合わせてこの試合初の得点にベンチ、観戦者からも拍手が大きかった。
B君、C君、D君はハイタッチして自陣に戻った。

C君は、自分にこんなに優しいボールを出してくれるB君のプレーが好きだった。
母親同士で何があったのかは知らないけど、自分はB君を大事な仲間と信じることで吹っ切れたのだった。

この日のTMの成果はABチームで両極端だった。
Aチームは相手のAチームには1勝も出来ず1分3敗。相手Bチームにも1勝2分1敗。
Aチームは課題を多く残す結果だった。
問題なのは柔軟性で、相手チームの戦術を最後まで崩せなかった。

比べてBチームは相手Aチームとも互角だった3分1敗。相手Bチームには2勝2分だった。

これではどっちがAチームなのかわからない。
もちろん対戦相手との相性もあるが、相手のAチームから得点を奪ったのはBチームだけだった。

この日のC君はトータルで12得点を挙げ、相手チームのコーチからも一番注目された。

この日の試合後のミーティングで、ちっちゃいコーチは、
AチームとBチームとで何が違うのか、はっきりと差が出た試合だった。
Aチームはまともにシュートを打つどころか、その手前までが作れていない。
前線がろくな守備をせずにDFに任せる。DFは相手の抜け出しを怖がって、クリアに専念してしまう。
相手チームが引いたままで、攻撃に移った時に選択肢がなかった。
問題なのは、それをゲーム中に修正できなかったこと。
具体的にはチーム内でコンタクト出来ていないことが一番最悪なこと。
Bチームも、はっきり言って、まともにポゼッションは取れなかったからクリアに専念してしまう部分はあった。
しかし、1試合目から前線、中盤でプレッシャーをこの日ずっとかけられた。
そしてマイボールになったときに何をすればいいかわかっていたから、攻撃が速い。
Bのポストプレーはまだまだだが、成功率は後半の試合で上がってきた。守備面では一番貢献している。
スタミナを武器にキーマンだったと思う。
それを指示したのがDで、Bのプレーを結果にしたのがC。
他にもサイドの選手も絶えず声を掛け合って、マークを修正したり、後ろ向きでボールを取るBに対して、状況を教えたりするなどチーム連携がAとの違いだ。
来週から始まる大会に今日の課題を活かしてほしい。

と締めくくった。

これはあくまで実際に試合にかかわった人であれば同じような評価になるだろう。
ところが、保護者たちは、基本的に自分の子にフォーカスしているため俯瞰的な試合の流れに疎いのと、BチームがAチームより強いことはあり得ない、との固定概念がある事で、Aチームは大会に向けていろいろと試しているんだろうと話し合っていた。


その日の帰り道で、C君母はC君に、
今日はすごかったね!
相手のAチームから得点したのはCだけだよ。
一番目立ってたんじゃない?
これでまたAチームに戻れるかもね!

と、気分良く言った。
C君は、

僕じゃないよ。
僕だけじゃ何もできなかったよ。
一番活躍したのはB君。
コーチもそう言ってたし、僕もそう思う。

と、素直に言った。

あの子は得点してないよね?
たまにボール触っても、すぐに出しちゃうから全然目立たなかったじゃない?
あ、ボール貰おうとしてよく転んでたような気がするけど??

と、C君母が言うと、

僕の得点の半分以上はB君からのパスだよ。
1番初めのゴールは、身体はって左利きの僕にぴったり合わせるスルーパスだったんだ。

と、これも本心から嬉しそうに言った。
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