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スレッド名:
投稿ID:807916
名前:蹴人
コメント:
自分でも長くなったなぁと反省しております。。。
だからあと3話くらいで終わらすぜ
相手チームは、初めから数少ないチャンスを踏んでセンターバックの身体の大きい子をトップに配置し、見事ワンチャンスをモノにした。
いわゆる縦ポンだが、これで点が取れるなら立派な戦略だろう。
この1点で会場は相手チームの歓声で盛り上がった。
ちっちゃいコーチは、怒鳴ることなくセンターバックの子に、
気にするな!
キーパーと声掛けをしっかりとしておけ!
と言い、代わりに右前の子に、
いい突破だった。
それを続けろ!
と、あくまで前向きにコーチングした。
ただし、A君には厳しく、
お前が、左前の隅っこにいても何も出来ないだろう。
もっと相手のDFをビビらせて、ゴール前から引きずり出すんだ!
と、他の2人よりきつく言われた。
A君は、これで少し「誘え!」の意味がわかったが、肝心の誘い方までは経験があまり無い。
試合再開後もしばらく劇的な変化は無かった。
試合も終盤に差し掛かかり、残り3分となったため、相手チームのトップの子も下がり気味になった。
シュート数は歴然と差がある。
こちらは20本近く打ってるが、相手チームは1本。
その1本が得点に繋がった。
この時間帯で焦るなという言葉は、返って逆効果になることがある。
ちっちゃいコーチは大きな賭けをした。
トップ下のキャプテンに向かって、
Aとポジションを入れ替われ!
これだけだった。
この予選リーグは3チームが総当たりで戦い、1位だけが決勝トーナメントに出場する。
同じリーグの残りのチームも、大して強くはないので、今戦っているチームが2勝してしまえば、Aチームにとっては初めて予選敗退となる。
このポジションチェンジの効果はすぐに出た。
キープ力が弱いA君がトップ下になったため、密集を避けてPA手前に人を避けるように動いた事と、キャプテンをマンマークしていた子が釣られてサイドを気にするようになった。
半面、ボールの納まりも悪くなり、試合全体がごちゃごちゃしだした。
残り1分。
右前のトレセン組が仕掛けて、相手DFが2人迫った。
これを抜くまでは出来ないが、引きつけて空いたスペースにトップの子が走り込み、パスを貰う。
右前の子はパスを出した瞬間にゴール方面へダッシュ。
そこへトップの子は貰ったパスをダイレクトに柔らかく転がし、ワンツー完成。
グラウンド上の全員がこのワンツーに注目したため、逆サイドからキャプテンはフリーで走り込めた。
右前の子はキャプテンの足元へ強めにパスを出した。
キャプテンは軽く合わせるだけでゴールとなった。
右前の子が仕掛けてからは、5秒程度だろう。
こんな簡単に点が入るとはチーム全員が想像していなかったかもしれない。
今度はチームの保護者の歓声で盛り上がった。
正直安堵の歓声と言っていい。
DFの子たちも駆け寄ろうとしていた。
だが、さすがにキャプテンは、喜びもせずにボールを拾い、センターサークルまで走って再開を促し、味方に檄を飛ばした。
再開直後、相手チームがロングキックしキーパーが落ち着いてキャッチした時点で笛が鳴り、試合終了となった。
試合終了後、Bチームの試合が立て続けにあるため、チーム内でのミーティングを促し、次の試合で何を改善するのか、答えを聞かせろと言い、ちっちゃいコーチは監督、小太りと隣のグラウンドに向かった。
Aチームのキャプテンは、悪ガキの部類に入るだろう。
2年生からチームに入部し、持ち前の運動能力と負けず嫌い、明るさから、この学年ではずっと中心選手でいたが、低学年の頃はすぐに人を殴ったり蹴ったりするため、サッカー以外では付き合う子も殆どいない。
キャプテンは、A君を責めた。
お前が全然動いてない!
へたくそなんだから、せめて動けよ!
コーチ陣がいなくなると言葉遣いは悪くなるのはどこのチームでも一緒だ。
お前に全然パスコースなんて無かったぞ!
左前奥で、かわせない右利きのお前が何ができるんだよ。
誘え!っていうコーチの言うことも何もできてねーし!
〇んでくれ!
こういうやり取りは子供同士であれば普通の悪口だ。
親が知らないだけで、口の悪い子がいればよくある風景である。
だが、ここは試合会場で、この会話を聞いていた大人が一人だけいた。
A君の母親だ。
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